入試で英検やTEAPなどの英語資格が使える大学がどんどん増えています。
英検でおなじみの日本英語協会のサイトで下記の条件で検索してみると、2025年2月の時点で日本全国の339校で英語資格が活用できるようになっています。
- 入試区分:「一般選抜」、「学校推薦型選抜」、「総合型選抜」
- 活用検定:「英検」、「英検CSE」、「TEAP(4技能)」、「IELTS」
- 活用方式:「出願資格」、「得点換算 試験免除」、「加点」
今回は、この3つの活用方法とその場合の入試スタイルについて紹介していきます。
活用方法は主に3つ
一口に英語資格が使えると言っても、その活用方法は様々です。大学によっても異なりますし、同じ大学でも学部や入試方式によっても異なってきます。
ですが、英語資格の活用法は大きく次の3つに集約できます。これらを組み合わせて活用されるパターンもあります。
- 英語資格のグレードやスコアが基準を満足していると「出願資格」が得られる
- 英語資格のグレードやスコアによって「得点換算」され、英語の試験の得点になる
- 英語資格のグレードやスコアによって、大学独自の英語試験の得点に「加点」される
それぞれ詳しく見ていきましょう。
出願資格
英語資格を保有していると「出願資格」が得られるという入試方式があります。逆に言えば英語資格がなければ受験すらさせてもらえないという入試方式です。
各大学ごとに出願資格を得るための英語資格のグレードやスコアの条件が定められています。同じ大学でも・学部・試験方式ごとに条件が異なることがあります。また年度によっても条件が異なることがあるので、受験する大学の最新の入試要項でしっかり確認しましょう。
下表に2025年の中央大学の例を載せています。一般選抜・英語外部試験利用方式では英語資格による「受験資格」が必要となりますが学部・専攻によって基準が異なっています。
英語資格 | 文学部 英語文学文化専攻 | 文学部 その他専攻 | 商学部 |
---|---|---|---|
TOEFL iBT | 57以上 | 42以上 | 42以上 |
TOEIC L&R + S&W | 合計1410以上 | 合計1150以上 | 合計790以上 |
TEAP(4技能) | 270以上 | 225以上 | 225以上 |
IELTS | 4.5以上 | 4.0以上 | 4.0以上 |
英検 | 準1級以上の合格 | 準1級以上の合格 | 2150以上 |
GTEC | 1050以上 | 930以上 | 930以上 |
ケンブリッジ | 153以上 | 140以上 | 140以上 |
得点換算
保有している英語資格のグレードやスコアによって「得点換算」され、各大学入試における英語試験の得点になるという活用方法です。換算された得点は「みなし得点」などとも呼ばれます。
得点換算される場合は、大学独自の英語試験の受験が免除されることがあります。あるいは、大学独自の英語試験を受験した得点と英語資格によるみなし得点とを比較し、高得点のほうを採用するという大学も多数あります。
「得点換算」される場合では、その入試方式の募集定員枠の扱いが英語資格を保有していない受験生と同一枠なのか?、それとも別枠として区別されているのか?にも着目しましょう。
募集定員枠 | 説明 |
---|---|
英語資格未保有者と同一枠 | ・未保有者は大学独自の当日の英語試験の得点で判定される ・保有者はみなし得点もしくは当日の英語試験のうち、高得点のほうで判定される ・英語資格保有者にとってアドバンテージのある入試方式 |
英語資格未保有者と別枠 | ・英語資格保有者のなかでの合否判定となる ・より高いグレード・スコアを保有していないとアドバンテージが得られない |
同一枠の場合は「得点換算」されることで、英語資格を保有していない受験生に対して入試を有利に進めることができる可能性があります。
また「得点換算」のパターンもさまざまです。いくつか代表的な換算パターンを紹介します。
一律満点換算
基準のグレードやスコアをクリアしている場合に、もれなく英語試験の得点が満点換算されるパターン
- 紹介事例:2025年 立命館大学 共通テスト利用方式
- 換算方式:英検準1級以上(他英語資格の基準もあり)を保有している場合は、共通テストの英語のスコアを満点とみなす
換算表提示
大学から換算表が提示され、自分のグレードやスコアを照らしあわせることで、英語試験のみなし得点に換算されるパターン
- 紹介事例:2025年 東洋大学 一般入試(前期日程)
- 換算方式:下記表のとおり。当日英語の試験を受験した場合は高得点のほうを採用。
みなし得点 | 英検 | GTEC | TEAP(4技能) | IELTS |
---|---|---|---|---|
100点換算 | CSEスコア2304 | 1190 | 309 | 6.0 |
90点換算 | CSEスコア2150 | 1063 | 253 | 5.5 |
80点換算 | CSEスコア1980 | 999 | 225 | 5.0 |
基準換算値提示
ある英語資格のグレードやスコアに対して一つの目安の換算基準だけが提示され、得点換算の詳細については非公開になるパターン
- 紹介事例:2025年 中央大学 国際経営学部 一般入試 英語外部試験利用方式
- 換算方式:英語資格のスコアの高低に応じ、5点刻みの得点(200点満点)に換算。下記目安のみ提示(例えば英検準1級のときのスコアは公開されていない)。
- 外部試験のスコアを該当スコアの高低に応じ、5点刻みの得点(200点満点)に換算します。
- 目安として、各種外部試験のスコアは、以下のように入試得点にそれぞれ換算します。
- 【200点】実用英語技能検定1級合格者(スコア不問)
- 【190点】IELTS6.5
- 【180点】TEAP(4技能パターン)350
- 【170点】TOEIC L&R+S&W1150
- 【160点】TEAPCBT610
- 【150点】ケンブリッジ英語検定155
- 【140点】TOEFLiBT 60
- 【130点】GTEC CBT 1020
- なお、得点換算の詳細については公表していません。
加点
英語資格のグレードやスコアによって、大学独自の英語試験の得点に「加点」されるパターン。加点方法にも、いくつかパターンがあり、大学独自の試験が課されずに英語資格による加点だけで差がつく場合や独自試験の得点に対して加点される場合などがあります。
英語資格による加点だけが英語の得点になる場合
- 紹介事例:2025年 関西大学 文学部 一般入試 2教科型[英語外部試験利用方式]
- 加点方式:独自英語試験はなく、英語資格のグレード・スコアを用いた換算表に基づいて0~30点/30点満点が加点される(下記換算表は簡略化しています。記載していない英語資格も利用可能です)
加点 | 英検 | IETLS | TEAP(4技能) |
---|---|---|---|
30点 | CSE2300点以上 | 5.5以上 | 309点以上 |
15点 | 2125~2299 | 5.0 | 267~308 |
0点 | 1950~2124 | 4.0~4.5 | 225~266 |
独自英語試験の得点に加算される場合
- 紹介事例:2025年 名城大学 外国語学部 一般選抜 3教科型A方式
- 加点方式:基準スコアを満たす英語資格(例:英検2300点以上)を保有している場合は、入試当日の大学独自英語試験(100点満点)の結果に対して30点を加算する。加算後の得点上限は100点。
まとめ
- 英語資格の活用方法は主に3つある
- 「得点換算」と「加点」は他の受験生に対して、英語の得点のアドバンテージを得られる可能性がある
- より高いアドバンテージを得るには、より高い英語資格のグレード・スコアを取得しておく必要がある(例:英検なら準1級以上だと有利になるケースが増える)